idea factory from newspaper 2003 9 3

自動車産業の地殻変動(auto industry tectonism)
 遅れている「自動車のIT化」、
そして、「自動車の家電との融合」を考えると、
自動車産業の再編は、まだ、ありうると思います。
 それは、自動車メーカーと電機メーカーの再編です。
あくまでも企業名は、たとえ話ですが、
「日産自動車+ソニー」という組み合わせも、あり得ます。
この場合は、日産自動車がソニーを吸収するのではなく、
ソニーが日産自動車を吸収することになります。
ソニーの自動車事業部です。
ホンダ+NECという組み合わせもあり得ます。
日立は、日立自動車になるのでしょうか。
 いずれにせよ、「自動車のIT化」や「自動車の家電との融合」を考えると、
自動車産業と電機産業の「接近」はあり得るし、
逆に、自動車産業と電機産業の「戦争」もあり得ます。
しかし、「接近」にしても「戦争」にしても、
日本の自動車産業にとってはプラスです。
これで、日本の自動車産業が、世界の自動車産業のトップに立つのです。
 今の自動車メーカーは、中国という巨大市場での決戦と、
電機メーカーとの決戦と、二正面作戦になる可能性があります。
ですから、今の自動車メーカーは、増益増収などと喜んでいる場合ではありません。
自動車村が、タイタニックとなる可能性があります。
電機メーカーの「これからは自動車で稼ぐ」というセリフは、
笑い事では済まされません。
 自動車メーカーと電機メーカー、どちらが強いか。
対消費者という面では、電機メーカーの方が有利です。
それに、自動車はディーラーで売るというのも固定観念です。
自動車メーカーだって、インターネットで、自動車を売っています。
「エンジンの電気モーター化」
エンジンが、ガソリンから電気モーターに変わる時代です。
電気といえば、電機メーカーの方が得意です。
「自動車のIT化」
IT化は、電機メーカーの方が得意です。
「自動車の家電との融合」
家電は、電機メーカーそのものです。
 携帯電話もPDAも、情報化時代の道具です。
自動車もそうなるでしょう。
 電子化する自動車を見れば、電機メーカーにとって、
自動車は「打出の小槌」に見えるでしょう。

日本も戦乱状態です。
中東は、戦場で、戦車やミサイルで戦っていますが、
日本は、市場で、技術力で戦っています。
もう、戦車やミサイルで戦う戦争は古いと思います。

 このように、今はスピードの時代です。
もう、政府が時代の変化についていくのは、むずかしいと思います。
今の政府のやり方は、
1年目に、審議会などで、事業を審議し、
2年目で、予算要求、
3年目で、事業の実施、
これでは、激変する世界では、
事業を実施する頃には、もう手遅れです。
このシステムを抜本的に変える必要があります。
あるいは、企業のサポート役になるか。